富山市役所 都市整備部 インタビュー

「富山」駅を公共交通の拠点に。南北一体化が実現させる新しい街の形

1908(明治41)年に「富山」駅が現在の位置に設置されてから100年余り。北陸新幹線が開業し、富山市にとって新しい時代が始まった。近年、「富山」駅とその周辺はコンパクトな都市を支える公共交通の拠点として進化し続けている。今回はそんな「富山」駅周辺の都市整備事業を行っている富山市役所 都市整備部の笹倉宏一さんと中野昭仁さんにお話を伺った。

6つの事業で実現する南北一体のまちづくり

インタビュー取材にご協力頂いた笹倉さん、柏木さん、中野さん(写真左から)
インタビュー取材にご協力頂いた笹倉さん、柏木さん、中野さん(写真左から)

――まずは「富山駅周辺整備事業」の概要や経緯について教えて頂けますでしょうか。

笹倉さん:「富山」駅周辺は県の玄関口として交通の拠点である一方、鉄道が駅の南と北を分断していることで一体的なまちづくりが難しいという状態でした。ですが、現在は北陸新幹線の整備をきっかけに在来線を高架化し、南北に分断されていた市街地を一体化しようとする取り組みが進められています。

――では、「富山駅周辺整備事業」について具体的に教えてください。

笹倉さん:「富山」駅の周辺では、「北陸新幹線建設事業」、「富山駅付近連続立体交差事業」、「関連道路整備事業」、「富山駅周辺地区土地区画整理事業」、「自由通路整備事業」、「路面電車南北接続事業」の6つの事業に取り組んでいます。

「富山駅周辺整備事業」を構成する6つの事業(出典:富山市)
「富山駅周辺整備事業」を構成する6つの事業(出典:富山市)

2015(平成27)年3月に北陸新幹線(長野〜金沢間)が開業し、JR「富山」駅は新幹線駅として再整備されました。これにより都市間の移動時間は大幅に短縮され、富山〜東京間は最速2時間8分でアクセスできるようになりました。さらに北陸新幹線は全線開通すると、東京から富山、金沢を経由して新大阪に至る延長700kmの路線になります。関東・北陸・近畿・東海を環状に結ぶ高速交通ネットワークの形成を目指し進められている事業が一つ目の「北陸新幹線建設事業」です。

北陸新幹線
北陸新幹線

さらに富山の玄関口にふさわしい交通拠点の整備や、鉄道によって分断されていた南北市街地の一体化を目的に、あいの風とやま鉄道線、JR高山本線や富山地方鉄道本線を高架化する事業が「富山駅付近連続立体交差事業」になります。整備にあたっては、富山港線の路面電車化や新幹線整備に合わせた施工を行うなど、限られた用地の中で段階的に進めています。

6つの事業の中でも特に特徴的なのは「路面電車南北接続事業」ですね。こちらの事業は「富山」駅南側の富山地方鉄道富山軌道線と北側の富山ライトレール富山港線、二つの路面電車を新幹線・在来線高架下に新設する停留場で接続するというものです。前述の「北陸新幹線建設事業」により線路の延長は一部完了しており、「富山駅付近連続立体交差事業」完了次第、延長を進め南北の接続が実現します。

高架下停留所(南口駅前広場側)
高架下停留所(南口駅前広場側)

高速鉄道の下に路面電車の停留所があるのは富山だけですし、高架下で南北の路面電車が結束されるのは特徴的だと思います。こちらは平成31年度末の完成を目指して工事を進めています。

その他、市街地の慢性的な交通渋滞の緩和策として鉄道の高架化事業に併せて県道・牛島蜷川線や市道・堀川線などを拡幅する「関連道路整備事業」、「富山」駅の南口および北口駅前広場の再整備や周辺道路の整備を行い、利用者の利便性向上を図る「富山駅周辺地区土地区画整理事業」、新幹線および高架下空間を利用して鉄道利用者以外の方でも通行できる自由通路を整備し、駅南北の一体化を図る「自由通路整備事業」にも取り組んでいます。

富山市都市整備部 笹倉宏一さん
富山市都市整備部 笹倉宏一さん

「富山駅周辺整備事業」の検討体制としましては、2003(平成15)年に「東京工業大学」名誉教授の黒川氏をはじめとする学識経験者や地元団体、鉄道関係機関などで組織する「富山駅周辺整備協議会」を設置し、今後の整備事業やまちづくりの方針などが話し合われました。そしてこれらを具現化する為に「富山駅周辺整備事業推進協議会」を発足し、駅前広場など公共施設計画や土地利用計画が進められました。

次の100年に受け継げる駅フロント整備を目指して生まれ変わる「富山」駅

――「富山駅周辺整備事業」の3つの基本方針について教えてください。

「富山駅周辺整備事業」の3方針(出典:富山市)
「富山駅周辺整備事業」の3方針(出典:富山市)

笹倉さん:次の100年に受け継げる駅フロント整備を基本テーマとしまして、「えき」と「まち」の再構築を先導する駅及び駅前広場の整備を進めています。基本方針の1つ目は「県都富山の新たな顔をつくる」です。駅は都市の入り口であり、街の第一印象なので、富山の歴史や自然を活かした駅舎や広場をデザインし、良好な景観を形成することを心がけています。2つ目は「多彩な公共交通を快適につなぐ」です。富山市は「富山」駅を中心として放射線状に公共交通が伸びているので、南北が一体になり、新たな都市軸ができることは新しいまちづくりには重要なポイントになると考えます。

街を盛り上げる駅南口広場のイベント
街を盛り上げる駅南口広場のイベント

3つ目は、「都市拠点としての機能をそなえる」です。高架下等を活用し、広域商業、文化交流、業務等の都市機能を充実します。高架下には新たな商業施設が設けられ、駅前広場では広いスペースが確保されていますので様々な展示やイベント、コンサートなどが開催されています。駅前には新しい人の流れができて、賑わいの創出につながっていると感じます。

魅力がいっぱいの富山は、まちづくりの魅力も満載

――整備事業が進んでいく中で、「富山」駅周辺の街はどのように変わっていくとお考えですか?

笹倉さん:駅前には飲食店が増え、歩行者の流れもだいぶ変わってきたように思います。「富山駅周辺整備事業」が進むことにより南側に偏っていた商業圏も北側にも広がることが予想されます。できるだけ早い完成を目指しておりますので、是非ご期待ください。

中野さん:「富山駅周辺整備事業」により新幹線、在来線、路面電車、そして、ひと全てが「富山」駅でつながり、新たな公共交通の拠点として「富山」駅は生まれ変わります。富山市全体が街として一つにつながれば、より便利で住みやすく良い街になるのではと期待します。

――富山市の魅力について一言お願いします!

富山市都市整備部 中野昭仁さん
富山市都市整備部 中野昭仁さん

中野さん:富山市は公共交通の発展により、乗り継ぎ次第で市内から東京まで数えられる程の歩数でいけると例えられるほどのアクセス環境の良さが魅力の1つです。美味しいもの、奥ゆかしい県民性、住みやすさなど魅力がたくさん詰まった富山市。全国に先駆けたまちづくりの先進事例としてこれからも富山を盛り上げていきたいと思います。

富山市役所

都市整備部 笹倉宏一さん 中野昭仁さん
所在地 :〒930-8510 富山県富山市新桜町7番38号
電話番号:076-431-6111
URL:http://www.city.toyama.toyama.jp
※この情報は2018(平成30)年1月時点のものです。