富山駅 沢谷英毅駅長 インタビュー

北陸新幹線開通後、富山の市民生活と観光を支える「富山駅」

2015(平成27)年に富山駅に開通した北陸新幹線。従来の在来線である北陸線は「あいの風とやま鉄道」に移管され、あいの風とやま鉄道の富山駅は現在、2年後の完成を目途に駅舎の高架工事を進行中である。富山市長が掲げる“コンパクトシティー構想”と2年後の富山駅の完成など新幹線開通以降も開発の潮流のなかにある富山市。今回はこれからの富山市の発展の要ともいえる富山駅で駅長を務められているJR西日本富山駅の沢谷英毅駅長にお話を伺った。

120周年という節目を目の前に

富山駅 沢谷駅長
富山駅 沢谷駅長

――まず富山駅の歴史や概要について教えて頂けますでしょうか。

沢谷さん:富山駅は国鉄時代に遡り、1899(明治32)年3月に開業しました。その9年後の1908(明治41)年11月に現在の場所に移転し、当時は高山線と富山港線の分岐の駅として県民の皆様に利用されておりました。ご存知のように2015(平成27)年に北陸新幹線の開業に伴って、在来の北陸線は「あいの風とやま鉄道」へと移管されました。そして富山駅は来年の3月に120年という節目の年を迎えようとしています。

2015年開業の北陸新幹線
2015年開業の北陸新幹線

――新幹線開業後、富山駅から県内外へのアクセスなどについて変化はありましたでしょうか。

沢谷さん:新幹線が開通してからは、駅の南側を走る路面電車(LTR)が駅舎内に乗り入れしています。雨に濡れずに市内を周る路面電車の環状線を利用できるため、非常に利便性は良くなったと感じます。現在、あいの風とやま鉄道の下り線の高架工事を行っている最中ですが、2年後にこれが完成すると駅南側の富山地方鉄道富山軌道線と北側の富山ライトレール富山港線が連結しますので、駅舎を挟んで駅の南北がひとつの路線となり、市内周辺へのアクセスの向上がよりいっそう見込まれます。
また、新幹線の開通により東京~富山駅間は最短で2時間8分で到着できるようになりましたので、ビジネス利用のお客様が増えたというのがいちばん強い印象です。東京行の上り線では6時19分の始発がありますので、これに乗れば8時半過ぎには東京に到着します。区内であれば在来線や他の路線を乗り継いでも会社の始業時間にはおおよそ到着が可能ということになりますので、ビジネスの利便性が非常に高まったと言えるのではないでしょうか。

駅舎内に乗り入れし、利便性が向上した路面電車(LTR)
駅舎内に乗り入れし、利便性が向上した路面電車(LTR)

――富山市や周辺の観光などに関してはいかがでしょうか。

沢谷さん:観光面に関しましては、最近オープンした「富山県美術館」や「富山市ガラス美術館」など富山の魅力を伝える施設だけでなく、観光客の方に喜んでもらえる施設の整備にも力を入れているようです。また、眺めの良い富岩運河を見渡せる「富岩運河環水公園」の遊覧船は、昨年の利用者数が過去最高であったというお話も聞いておりますし、さらに園内にある「スターバックスコーヒー」は“世界一風光明媚な場所にあるスターバックスコーヒー”として有名になっております。

――改修工事が進む富山駅の設備について教えてください。

沢谷さん:富山駅では新幹線開業後、想像以上に乗車券類をお求めになるお客様の列が長く、お待たせする状態が続きましたので、その解決策として受け取り専用の緑の券売機を2台増設して利便性を図りました。
また、駅舎の中には「カテゴリー3」という複数の外国語で案内ができるスタッフが常駐している観光案内所が設置されています。こちらは県や市の自治体が非常に力を入れて取り組まれておりまして、北陸日本海側で「カテゴリー3」の案内所を設けているのは富山県のみとなっています。また、現在進行中の高架工事(改修工事)が完了後には高架下に様々な商業施設が入店するという計画もあるそうですので、駅周辺はよりいっそう魅力のある形になっていくのではないかと期待しております。

自治体が力を入れて取り組んでいる観光案内所
自治体が力を入れて取り組んでいる観光案内所

地域コミュニティーとしての「富山駅」の在り方

――富山駅南口駅前広場では様々なイベントが行われているとのことですが、具体的にはどのようなイベントがあるのでしょうか。

「富山駅あったかおもてなしDAY」
「富山駅あったかおもてなしDAY」

沢谷さん:6月から10月にかけては富山市の富山駅周辺地区整備課が企画しているプレミアムフライデーにちなんだイベント「ゆうぞら駅市」を第4金曜日に開催しております。また「富山駅あったかおもてなしDAY」では白えびや高志の紅ガニ(こしのあかがに)など富山の名産を使った鍋を振る舞うなどを行っています。これは地元の方にももっと富山を知ってもらうと同時に地域のコミュニティーの場を作っていきたいという考えで行っております。地元の方に富山駅を知ってもらえれば観光やビジネスで来られる多くの方にも富山の魅力を伝えることができるだろうと思っています。

「おわらin富山駅」の様子
「おわらin富山駅」の様子

また、富山市とJR西日本がタイアップして2017(平成29)年から始めた「おわらin富山駅」という催しでは「おわら保存会」の皆様が富山駅でおわらを踊ってくださったり、さらに富山駅自由通路のミニコンサートを高校の吹奏楽部などにより週末に開催しており、多くの人が楽しんでいらっしゃいます。

――「北陸新幹線」が今年開業2年(3年目)を迎えましたが、富山の街はどのように変化したと感じておられますか。

沢谷さん:富山駅周辺の街並みは近代化してきたように思いますし、実際に県外から来られる方からもそういう声を多く頂いております。北陸新幹線は金沢駅が始発ですので、金沢へ行かれる観光客の方も多くいらっしゃいますが、年を重ねるごとに富山を目的地としていらっしゃる方が確実に増えているなと実感しています。

現在の富山駅北口の様子
現在の富山駅北口の様子

――開業4年目を迎えるにあたり、今後の展望などはございますか。

沢谷さん:来年は120周年という節目の年になりますので、それにちなんだ記念行事ができればいいなと個人的には考えております。また、富山県としましては、今まで以上に富山の知名度を上げていくことが大切ではないかと感じています。そうすることで、より多くの観光客の方にも来て頂けますし、地元の方は「富山らしさ」というものをより大切にできるのではないでしょうか。

地元ならではの味覚に出会える「きときと市場 とやマルシェ」
地元ならではの味覚に出会える「きときと市場 とやマルシェ」

知名度向上のための取り組みとしては、例えば“自然のいけす”と呼ばれる富山湾のおいしい魚をもっとアピールしていこうという活動も現在行われています。私の出身は若狭湾沿いですが長く金沢に住んでおりまして、普段から金沢の魚を食べていても富山の魚は“より魚の味がする”と感じます。白えび・ホタルイカは富山産として既に有名ですが、カニは「高志の紅ガニ(こしのあかがに)」としてブランディング化されていますし、「富山湾鮨」というのも打ち出しておられます。

機能的な都市へと推進する“コンパクトシティー構想”

――富山駅の未来について教えてください。

沢谷さん:先程も出ましたが2年後に路面電車(LTR)が南北連結することが、特に市民生活において大きなインパクトを生むのではないでしょうか。また利便性が高まることで、周辺にはマンションなども増え、よりいっそう整備が進むだろうと予想しています。富山市長さんが“機能的で活気のある街”という意味で富山市を“コンパクトシティー”とするコンセプトを打ち出しておられますし、その象徴的なものが2年後の路面電車の南北連結になるのではないでしょうか。

富山駅について語ってくださった沢谷駅長
富山駅について語ってくださった沢谷駅長

――沢谷駅長が考える富山駅周辺地区の魅力とは何でしょうか。

沢谷さん:駅からほんの数分歩けば、富山のおいしい海産物が食べられるスポットが充実しているということでしょうか。新しいホテルも建っておりますので、「黒部立山」などの観光拠点にするのもいいですが、富山駅に寄り道するだけでも一時間もあれば駅の周辺で富山のおいしいものを食べられますので、それも富山駅の魅力の1つだと思います。富山は市民生活と観光の両面において、これからよりいっそうの発展と可能性を秘めた街だと思います。

富山駅
富山駅

JR西日本 富山駅

駅長 沢谷英毅さん
所在地:富山県富山市明輪町1-227
URL:https://www.jr-odekake.net/eki/top.php?id=0541465
※この情報は2018(平成30)年1月時点のものです。