スペシャルインタビュー

人と人が交流しあう、“にぎわいのあるまち・高岡”を目指して / 高岡市役所 都市計画課

富山県第2の都市で、県北西部に位置する高岡市。高岡城跡「高岡古城公園」や日本3大仏の「高岡大仏」など多くの歴史資源を有し、海や山の豊かな自然の景観も魅力です。 そんな高岡市の交通拠点である「高岡」駅前では、現在「高岡駅前東地区整備基本構想」をもとに、整備事業が進められています。 今回は高岡市の都市計画課を訪ね、高岡市の魅力や、「高岡」駅前を中心にこれからどのようなまちづくりがされていくのか、お話をお伺いしました。

高岡市都市計画課 鞍田さん(左)、狩野さん(右)
高岡市都市計画課 鞍田さん(左)、狩野さん(右)

歴史・自然を有し、富山県西部の多彩な交流拠点である高岡市

――まず高岡市の概要を教えてください。

鞍田さん:高岡市は富山県北西部にあり、県西部の中心都市です。人口は16万6千人、面積は210㎢。市内の西側には二上山があり、北東側には富山湾が臨めます。市内には一級河川である庄川、小矢部川が流れており、海、山、川などの自然豊かな都市です。特に雨晴(あまはらし)海岸は「日本の渚100選」に選ばれていて、海越しに3,000m級の立山連峰の素晴らしい景観を楽しめます。

そして、古くから政治経済の中心として発展し、歴史資源も多く有しています。国宝の「瑞龍寺」や、日本3大仏の「高岡大仏」、高岡城跡である「高岡古城公園」などが点在し、重要伝統的建造物群保存地区として山町筋、金屋町、また最近では吉久地区も選定されました。

「高岡大仏」
「高岡大仏」

また交通の要所としても発展してきています。 2015年(平成27年)には北陸新幹線が開通しました。東海北陸自動車道と能越自動車道が南北の交通軸を形成して、飛騨・越中・能登の地域がつながっているため、高岡市は飛越能の玄関口として非常に便利な交通の要所となりました。 岐阜県の白川郷へは1時間、石川県の和倉温泉、七尾のあたりまで45分ほどで行けるようになり、北陸新幹線の「新高岡」駅から「東京」駅まで最速2時間20分で着きます。

市内の鉄道は、あいの風とやま鉄道、JR氷見線、JR城端線、万葉線が走り、県西部の全市をつなぐ要所であるとともに、経済、文化、情報の多彩な交流拠点の役割を担っているのが高岡市です。

北陸新幹線開業を前に始まった「高岡駅前東地区整備基本構想」

――「高岡駅前東地区整備基本構想」について実施の経緯や背景を教えてください。

鞍田さん:「高岡」駅周辺地区は、商業・サービス等の各種都市機能が集まっている地域で、本市のみならず、富山県西部地域の中心的な役割を担っています。また、北陸新幹線開業後はさらに、地域交通の結節点としての役割を担うこととなる重要な地区という位置づけになりました。

こうした背景のもと、「高岡」駅周辺地区がにぎわいの核となって、さらに拠点性を高めることができるようにと、北陸新幹線開業に伴う「高岡」駅や「新高岡」駅周辺の整備に合わせてこの地区の土地利用や景観形成のビジョンを明確にしたものが「高岡駅前東地区整備基本構想」です。

「高岡駅前東地区整備基本構想」をはじめ様々な事業に取り組む高岡市
「高岡駅前東地区整備基本構想」をはじめ様々な事業に取り組む高岡市

もともと築50年を超える老朽ビルや木造家屋、駐車場といった低未利用地が多く存在する地域で、駅直近の5ヘクタールの地域を「高岡駅前東地区」として整備対象としました。

2014年(平成26年)3月に策定しましたが、その後2016年(平成28年)3月に改定しています。 というのも、地権者を含む関係者とのワークショップや民間企業等へのヒアリングを実施し、構想に対して地元の意向を反映させる形をとることにしたからです。

地元住民の意見を取り入れ描いた将来像

街区整備方針 画像:高岡駅前東地区整備基本構想(改訂版)
街区整備方針 画像:高岡駅前東地区整備基本構想(改訂版)

出典:ttps://www.city.takaoka.toyama.jp/toshi/sangyo/toshi/kukaku/documents/kihonnkousou_kaiteibann_gaiyou.pdf

――「高岡駅前東地区整備基本構想」をもとに、具体的にはどんなまちづくりがなされるのでしょうか。

鞍田さん:この構想の整備方針として3つ掲げています。 1つめは、「駅周辺の拠点機能を最大限発揮し、居住者や駅を利用する方の多様なニーズに対応した利便性の高いまちづくりをしましょう」というものです。 様々な利用目的に即した施設をつくるということですね。

2つめは、「安全・安心で快適な、歩いて楽しく暮らせる公共交通中心のライフスタイルを実現する、魅力的なまちなか環境を創出する」ということです。

そして3つめは、「高岡の顔にふさわしい景観形成と魅力発信の創出をしよう」というもので、高岡のまちの入り口として、魅力が伝わるような情報発信の拠点にしていくということです。

こうした3つの方針のもと、東地区の中でAゾーン・Bゾーン・Cゾーンとゾーニングし、さらにエリアを8つに分けました。そのエリアごとに、こういう施設がいいよねというイメージをつくり、それを街区整備方針としました。イメージを掲げることで、民間事業者と協力しながらイメージに沿った施設を誘導していきたい、というのがこの構想の中身です。

マンションの建設も進む
マンションの建設も進む

すでに完成した施設として、看護学校や商業施設などが入った駅直結型複合ビル「ソラエ高岡」や、マンション、銀行などがあります。これらは、先ほどの街区整備方針に即した形になっています。さらに現在新たなマンションも建設中です。

地元の関係者や市民の方とのワークショップやヒアリングを通して理想の将来像を決めていった街区整備方針はあくまでイメージですが、できるだけ市民や地元関係者の意向を反映して進めていくというところがこだわりです。

行政・地元・民間 3者で進める開発事業

「高岡」駅前のにぎわい創出に期待を寄せるお二人
「高岡」駅前のにぎわい創出に期待を寄せるお二人

――本計画ならではの特徴があれば教えてください。

鞍田さん:まず構想自体が、市だけではなく市民や地元関係者と一緒に作り上げたというのが最大の特徴です。 最初にお伝えした通り、2014年(平成26年)に策定した段階では市が主体となって進めていましたが、その後地元関係者などの意見を取り入れ改訂しました。 そのなかで、行政・権利者・民間事業者の役割を明確化しました。

開発に関しては基本的に民間事業者が行い、行政は補助や支援、施設整備に必要な道路整備などを行っています。民間の活力を生かした開発としても特徴づけられるのではないでしょうか。 また、駅直近部にふさわしい都市機能や施設を集約化させるというのも駅前エリアならではですね。

人が集まり、にぎわいのあるまちへ

にぎわいのあるまちへ「高岡駅前東地区の現在の様子」
にぎわいのあるまちへ「高岡駅前東地区の現在の様子」

――「高岡駅前東地区整備基本構想」によって、どんなまちの変化が期待されるでしょうか。

鞍田さん:現在すでに複合ビルやマンションの建設が進んでいますが、そういった整備は着実に人口の増加につながっています。 今後も事業が進むにつれて、さらなる人口の流入が予測されます。 人が増えてくれば、多様な種類の店舗やサービスといったものを呼び込むことにつながるのではないかと期待しています。

また、この駅前東地区からさらに近隣の地域へとその効果が波及されていけばいいなと思っています。 人が増え、にぎわいが増し、さらに店舗が張り付いてといった形でいい循環になればと考えています。

狩野さん:お子さん連れの方は、大型商業施設などに行くことが多いのではないでしょうか。 これから進む整備によって、駅前ににぎわいが生まれ、お店やイベントなどが増えていき、そういった方たちにも高岡のまちなかに行きたいなと思ってもらえるようになってほしいです。大型商業施設とは違った、高岡らしい魅力が深まるといいと思っています。

風情や情緒を身近に感じられるまち、高岡

千本格子が特徴的な金屋町の街並み
千本格子が特徴的な金屋町の街並み

――最後に、「高岡」駅周辺の魅力をお聞かせください。

鞍田さん:駅直近部ということで魅力はたくさんあります。 まずは公共交通の利便性が確保されているため、移動の負担軽減ということです。 さらに、飲食店も集まっているエリアなので、生活の利便性も高いです。

また、駅から徒歩圏内に観光拠点や大きな公園などがあります。たとえば「瑞龍寺」や「高岡古城公園」「山町筋・金屋町」「高岡大仏」。歩いて15分ほどで行けるところばかりです。 そういった観光拠点周辺では、最近若い方が空き店舗をリノベーションしてお店を出したりしています。

駅周辺では、「高岡七夕まつり」や「日本海高岡なべ祭り」などのイベントも開催されます。高岡の風情や情緒を感じながら日常を暮らすことができるというところでとても魅力のある場所だと思いますので、ぜひそこを楽しんでいただければ嬉しいです。

高岡市役所
高岡市役所

高岡市役所 都市計画課

鞍田吉弘さん(左)、狩野一貴さん(右)
所在地 :富山県高岡市広小路7-50
電話番号:0766-20-1111
URL:https://www.city.takaoka.toyama.jp/
※この情報は2021(令和3)年11月時点のものです。