スペシャルインタビュー

高岡市の伝統を守り、子どもたちに伝えていく「高岡市立定塚小学校」の取組とは。

「富山」駅から各停電車でも20分の富山県第2の都市「高岡市」。JRとあいの風とやま鉄道が乗り入れる「高岡」駅は、近代的な交通ハブ機能をもつターミナル駅に生まれ変わり、生活の利便性が向上した。その「高岡」駅の近くに、日本を代表する漫画家 藤子不二雄氏のお二人を輩出した「高岡市立定塚小学校」がある。両氏が出会ったのもこの小学校だという。2021(令和3)年で120周年を迎える本校で、校長の鳥内先生に学校の魅力についてお話を伺った。

今回取材にご協力頂いた鳥内校長先生
今回取材にご協力頂いた鳥内校長先生

――まずは学校の沿革と概要を教えてください

鳥内校長先生:非常に歴史が長く、設立は1901(明治34)年です。そして2021(令和3)年で120周年を迎えます。児童数は16学級で421人となります。この地域では近隣地域の学校の再編統合が予定されており、「高岡市立高陵中学校」と本校は教育課程研究指定校(校種間連携)として文部科学省の指定を受けています。

――他校にはない歴史や「定塚小学校」ならではのポイントを教えてください

鳥内校長先生:本校は藤子・F・不二雄氏と藤子不二雄Ⓐ氏のお二人の出身校でもありまして、先生の漫画や資料を展示した「ふるしろ子供館」を設けていることが特徴だと思います。また、学校からの情報発信に力を入れており、月1回の「学校だより」に加え、ホームページで子どもたちの日々の様子をお知らせしています。また、立山登山や宿泊学習等の際にも、現地からの情報をリアルタイムにホームページ上で更新しています。保護者や地域の方々からは、子どもたちと話をするきっかけづくりにしているという話も耳にします。

藤子不二雄氏の漫画や資料を展示した「ふるしろ子供館」
藤子不二雄氏の漫画や資料を展示した「ふるしろ子供館」

地元を知ればもっと見える もっと気付く 自分や街の未来

――授業の中での特徴的な取組があれば教えてください。

鳥内校長先生:本校では、万葉集から富山に関係のある歌を選んでつくられた「越中万葉かるた」に全校を挙げて取り組んでいます。高岡市の「越中万葉かるた大会」では、ほかの学校は代表者や高学年のみの参加ということが多いのですが、本校は1年生から6年生まですべての子どもたちが練習に励んでいます。こういう取組がふるさとのよさを味わえるという点でも大切だと考えています。同じ視点で「高岡古城公園」でのオリエンテーリングやお花見ランチ等、高岡市の地域資源を授業で生かす取組も行っています。
地域の伝統工芸や産業に目を向けた取組としては、「ものづくり・デザイン科」での授業でしょうか。「ものづくり・デザイン科」は、高岡市の歴史や産業の特徴を生かした市独自の必修教科として国の認定を受けています。ものづくりの授業では、銅器や漆器の職人の方々に学校に来ていただき、錫のキーホルダーや青貝塗のオルゴールを制作しています。
また、「光る言葉集会」というのも本校ならではです。例えば全校集会の中で「あいさつするとこんないいことがあるよ!」と感じたことを子どもたちが自分の言葉で発表し、他の子どもたちに伝えるという取組です。

越中万葉かるた
越中万葉かるた

――そのような独自の取組での子どもたちの反応はいかがでしょうか

鳥内校長先生:いずれの授業も子どもたちにとってはいろんな“気付き”になっていると思います。「ものづくり・デザイン科」の授業では子どもたちが優れた伝統工芸や産業について、体験を通して学習したり、優れた技術をもつ職人さんとの交流を通して、豊かな感性と郷土を愛する心を育んだりしています。まさに高岡のよさに気付き、アピールできるようになっているのです。

高岡市立定塚小学校
高岡市立定塚小学校

――学習の特色や教育活動について教えてください。

鳥内校長先生:本校では平成30年度から中学校の先生の専門性を生かし、ALTと中学校の英語の先生が6年生の外国語活動の授業を行っています。中学校の先生が乗り入れるという形は、富山県では珍しいと思います。これに関しては別のメリットも生んでおり、例えば小学校における外国語の指導方法や学習の様子を中学校の先生が実際の現場で知ることができたり、外国語の授業だけに関わらず、子ども一人一人の学習の理解度等を知ったりすることもできるので、小中連携にも役立っていると思います。

大人も知らなかった地域の魅力を再発見

――「高岡」という街の特徴を活かした活動が他にもあれば教えてください。

鳥内校長先生:「高岡御車山祭(たかおかみくるまやままつり)」が行われる毎年5月1日は、「高岡の歴史・文化に親しむ日」として休業日になっています。これは本校に限ったことではなく高岡市全体が休日となっているのですが、街全体が市の歴史や文化をとても大切にしています。また、「高岡再発見プログラムスタンプラリー」の冊子を作って、28か所ほどの史跡や街の文化施設等を巡る取組を市が主体となって行っています。この取組がきっかけで、大人でも知らなかった高岡市のよいところを再発見できたという反響もあるようです。

藤子不二雄氏の漫画や資料を展示した「ふるしろ子供館」
藤子不二雄氏の漫画や資料を展示した「ふるしろ子供館」

――近隣の幼稚園や保育園、進学先の中学校との交流について教えてください。

鳥内校長先生:本校への入学予定者がいる幼稚園・保育園へは、本校の教員が情報交換に出向き、入学前の子どもたちの様子をしっかりと捉えるようにしています。中でも入学者が多い「定塚保育園」とは、年長児が1年生の授業を体験する機会を設けています。進学先となる「高陵中学校」とは合同の挨拶運動日を設け、その日は中学生たちが本校に来て「あいさつ運動」を行っています。ほかにも「アウトメディアデー」というものを合同で実施しています。これは一定期間SNS等から離れ、家族とのふれあいを大切にする取組です。この「アウトメディアデー」の取組は、家族のつながりを考え直す機会になったという保護者の方からの反響もあります。

鳥内校長先生
鳥内校長先生

形を破って前にすすめ! みんなが明るい顔の学校に

――今後、力を入れて取り組んでいきたい活動について教えてください。

鳥内校長先生:本校は学校運営方針として「喜んで登校 満足して下校」できる学校を掲げています。私は、授業の中で先生が「『分かる人は手をあげて』と言うのはダメだよ」と言っています。「分かる人」と言ったら分からない子どもがダメみたいじゃないですか。そうではなくて、子どもたちが分からないことをちゃんと「分からない」と言えるような雰囲気の教室にしてほしいということなんです。私は「教室はまちがうところだ」と考えています。まちがった意見を出し合う中で、自己存在感や自己肯定感が高まり、学び合える雰囲気が作られていくと思うんです。
子どもたちの理解度に差がつきやすい算数科では、クラスを解体し、その理解度に合わせてグループを編成し授業を行っています。なかなか授業についていけない子どもたちほど、「もっと理解したい、もっと分かるようになりたい」という思いをもつ子どもが多いと思っています。だからこそそれぞれの子どもの実態に合わせた授業を行うことで、より成績が伸びたり、学習意欲が高まったりすると考えています。

高岡市立定塚小学校の子ども達
高岡市立定塚小学校の子ども達

――なるほど。校長先生の作られた学校運営方針の意味がよく理解できます。

鳥内校長先生:そのほか、本校ではICT機器をパソコンからタブレットに変更しました。タブレットだとより操作が簡単で、いろいろな授業に持ち込みやすいのです。例えば先程の算数の授業でも子どもたちそれぞれが問題を何秒で解けたかなどのデータをとることもできます。そのような機器もより効果的に活用していくべきだと考えています。また、最近小学生の体力低下が指摘されており、私自身もデータを見て子どもたちの将来を危惧しました。そこで「定塚タイム(JT)」という活動を設け、全校で朝マラソンや5秒間走等の運動を行ってきました。始めてから1年が経過した今、その成果はマラソン大会のタイムに大きく表れています。かなり体力は伸びたのではないかと。ここでも順位だけではなく、一人一人の子どもたちが以前に比べてどれほど伸びたかをみてほしいと先生方に言っています。

タブレットの活用
タブレットの活用

――最後になりますが「高岡」エリアの環境の魅力を教えてください

鳥内校長先生:風光明媚な「高岡古城公園」にはぜひとも立ち寄っていただきたいと思います。また、「高岡大仏」や国宝「瑞龍寺」等の日本遺産になっている名所もたくさんあります。駅前は都会化してずいぶん便利になっていますが、自然の営みがたくさん残ったよいところです。魚もキトキトでおいしいですよ。知れば知るほど意外な名所も発見できる高岡の街にぜひお越しください。

高岡市立定塚小学校
高岡市立定塚小学校

高岡市立定塚小学校

校長 鳥内先生
所在地 :高岡市中川町5-1
電話番号:0766-22-0692
URL:http://joduka-e.el.tym.ed.jp/
※この情報は2019(令和元)年5月時点のものです。